佐渡島野草研究家 菊池はるみ

佐渡島で自然と暮らした先人の知恵をライフスタイルにとり入れた生活をする主婦です。 子供3人、猫4匹、夫と古民家で暮らしてます。 佐渡島の民俗学と植物学者の伊藤邦男先生の本を参考にさせて頂いてます。

佐渡の薬用植物その③佐渡国薬種二十四品

今回は、

少し専門的な薬草の歴史についてご紹介いたします。

 

「この草見た事とあるけど薬草だったんだね!」

と思って頂けたら嬉しいです。

 

佐渡国薬種二十四品

8代将軍徳川吉宗の頃、

幕府は

お薬の原料を輸入に頼るのをやめて、

国産のものでなんとかならないか考えました。

(オグルマ)

 

そこで幕府は全国にある

薬用植物の調査を行いました。

調査と普及活動や栽培の任務を担ったのが「採薬師」。

薬用植物や生薬(漢方薬の原料)の専門家です。

 

佐渡に採薬師が来たのは1722年の7月11日。

相川~銀山を登り、各村を調査しました。

佐渡に来た採薬師メンバー

・野呂元丈

・古賀徳運

・夏井松玄

・永井丈庵

採薬師は何度も佐渡に来れないので、

地元の人に薬用植物の知識を伝授しました。

採薬師からその知識を伝授された地元の人は

「薬草見習い」と呼ばれました。

佐渡で抜擢された薬草見習い

・大石村の庄兵衛

・西方村の甚兵衛

・三宮村の清左衛門

・中原村の利右衛門

・潟上村の杢右衛門

この中に皆様のご先祖様はいらしゃいましたか?

薬草見習いは採薬師を道案内しながら、

色々教えてもらったそうです。

 

そこでみつけた佐渡の優れた薬用植物が24品ありました。

それを佐渡国薬種二十四品と名付けました。

対象植物は自生する植物だと考えられます。

(シシウドだと思っているが・・・)

 

輸入に頼っていたお薬の原料、

いわゆる生薬は

日本にないものも多かったのですが、

日本に自生する植物で代用しようと試行錯誤しました。

(サネカズラ/ビナンカヅラ)

 

佐渡国薬種二十四品は

本来の生薬の材料になる植物と違う植物が記されています。

 

少しわかりやすく説明します。

 

ヨモギという植物の生薬名は艾葉(がいよう)。

日本にもある植物なので艾葉はそのままヨモギが使われます。

 

ボウフウという植物の生薬名は防風(ぼうふう)。

日本にはない植物です。

日本に自生する植物で

防風の代用として選ばれたのはハマボウフウです。

 

杜仲茶で有名な杜仲の木は生薬名は杜仲(とちゅう)。

日本に自生しません。

当時の少ない情報の中で、

採薬師が杜仲に選んだのはテイカカズラです。

 

江戸時代の採薬師の試行錯誤が垣間見えます☺

 

このように佐渡国薬種二十四品は

本来の生薬名に使われる植物とは違う植物が充てられている

という特徴があります。

 

佐渡国薬種二十四品☆

1/24・ハリギリ(海桐皮)

2/24・トキワイカリソウ(淫羊霍)

3/24・コブシ・タムシバ辛夷

4/24・オウレン(黄連)

5/24・サネカズラ/ビナンカヅラ(北五味子)

6/24・オグルマ(旋覆花)

7/24・ヒメハギ(遠志)

8/24・ノダケ(前胡)

9/24・シシウド(羗活)

10/24・ネナシカヅラ(菟糸子)

11/24・アマドコロ(萎蕤)

12/24・ツリガネニンジン(沙参)

13/24・ハマボウフウ(防風)

14/24・テイカカヅラ(杜仲)

15/24・クガイソウ(威霊仙)

16/24・サジオモダカ(沢瀉)

17/24・シュロソウ(藜蘆)

18/24・トウキ(当帰)

19/24・ヤグルマソウ(鬼臼)

20/24・サラシナショウマ(升麻)

21/24・トリカブト(草鳥頭)

22/24・ウスバサイシン(細辛)

23/24・オニドコロ(萆薢)

24/24・ミクリ(黒三稜)

 

 

佐渡国薬種二十四品は

本来の生薬名に使われる植物とは違う植物が充てられている

という特徴があります。

お薬を、

輸入に頼らずに国産で賄おうとした先人の

試行錯誤の足跡です。

 

佐渡国薬種二十四品は

現在でもそのほとんどを見つけることができます。

採薬師が本土に戻ってから、

薬用植物を同定し加工し出荷するのは薬草見習いの仕事です。

 

佐渡国薬種二十四品は漢方薬の原料である生薬として、

佐渡から全国へと出荷されていました。

 

多くの命を救ったことでしょう(^^♪

 

第一線を退き、

ようやくのびのび暮らすことのできる彼らを

敬い感謝の気持ちを述べてみてください☺

 

 

最後まで読んで下さってありがとうございます☺