佐渡島野草研究家 菊池はるみ

佐渡島で自然と暮らした先人の知恵をライフスタイルにとり入れた生活をする主婦です。 子供3人、猫4匹、夫と古民家で暮らしてます。 佐渡島の民俗学と植物学者の伊藤邦男先生の本を参考にさせて頂いてます。

クズバフジ

クズバフジは佐渡の方言です。

クズバフジとはマメ科のクズをさします。

世界の侵略的外来種ワースト100選定種のひとつ クズ

(時々見かける珍しい白花のクズ。香りは同じグレープのような良い香り。)

地元の方に

野草のワークショップを頼まれた際、

「これはクズという植物です」

と説明しても、

「いやいやこれは

クズバフジだからフジだ!!!」

といって、

納得しない方も💦

フジはこちら↓↓

方言と正式名称の混同は

年配の男性に多く、

私には対応できません💦

 

毒草のドクゼリは

佐渡に自生しない希少な植物ですが、

毒草の総称を

「ドクゼリ」

と呼ぶ人も多くいますよ。

 

野草研究家の私に質問されることの多くが、

「クズはどう使えばいい?」

ということです。

 

佐渡島はクズの島と言えるほど、

クズだらけです。

 

クズの葉は、

お茶にすると甘みがありマメ科特有の香りがします。

また、

昔のトイレットペーパーだったそうですよ☺

葉が蔓にくっついたまま海水に浸し、

おトイレ(せっちん)に吊るしておく。

自然乾燥した葉は

「かきん」

と呼ばれました。

(昔の佐渡のトイレ(せっちん))

 

新芽は

天ぷらにお勧めです。

てんぷらにすれば、

新芽の毛も気になりません☺

味は可もなく不可もない。

 

花は、

グレープにも似た良い香りがします。

乾燥させて粉にし、

ハチミツと練って丸めると

二日酔いに効くお菓子になります。

美味しいクズの花の丸薬

 

クズの花を蒸留すると、

香りの良いハーブウォーターになりますよ。

調べてみるとクズの花は、

大昔の香水の原料だったとか。

(クズの花のハーブウォーターは無色。

このまま水分を飛ばすと甘い水あめじょうになった。)

 

ただ、

クズの花は採取する時に大きな困難が…

 

それは大量のアリと

カメムシがついている💦

虫が苦手な人は注意が必要です。

 

クズの蔓は、

皆さんが困っている元凶です。

クズの蔓は

繊維がとれ

古代の布「葛布」になります。

(葛布は、ツルを煮てススキに伏せて発酵させる。

でも私は大失敗したので、タワシにしてみました。)

 

根は、

皆さんも聞き覚えのある『葛根湯』の原料の一つです。

 

また

水にさらして採ったでんぷんは、

葛粉になります。

 

国産吉野本葛150g

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江戸時代

佐渡奈良県吉野に次ぐ

葛粉の生産地だったことはご存じでしょうか?

 

新穂大野の郷土史「山と川と大地」に

佐渡の葛粉製造につい書いてありました。

 

大野では、

昔から農家の副業として、

葛粉づくりが行われてきが、

質・量共に優れていたので島内でも有名であった。

掘り取りの時期は11月から12月末までの2か月間である。

…根の長さは2㍍にも達するものもありなかなか手間がかかる。

男の仕事として1日に80~100㌔掘ればいいとされた。

 

持ち帰ったクズの根は水洗いをして、

納屋に運び根つぶしにとりかかる。

ここからは女の仕事である。

揉みだしと濾過を繰り返した桶には三種類の澱粉ができる。

白花は白色の澱粉

黒花は質が悪い澱粉で家畜のえさに。

中花は白花を水に溶かして、

再度袋で濾過し不純物を取り除き一晩おき、

上層部に浮いた澱粉を指す。

これは食用になり、みそ汁に入れて「いみそ」にすると味は良い。

…葛粉は高価な物産であり農家の相当よい収入であった。

 

 

相当量を掘っていたけれど、

それが放置され野生化している訳ですから、

大変な事ですね・・・・。

 

葛粉で得たお金で

生活できていた過去をしると、

クズを邪険に扱うのは間違いだと気づきます。

 

私も実際に葛を掘ってみました。

とても大変です💦

 

掘ったクズ根は

さつまいものような甘い香りがしました。

まるで木のような根は、

つぶすことが容易ではなく

葛粉づくりはあきらめました。

 

同様、

昔は資源だった植物たちと

今後どのように付き合ったら良いか?

 

当面の課題です。

 

 

 

最後まで読んで下さってありがとうございます☺